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岐阜家庭裁判所 昭和62年(少)1813号 決定 1987年11月18日

主文

少年を中等少年院に送致する。

理由

(非行事実)

少年は

1  公安委員会の運転免許を受けないで、昭和62年4月27日午後9時37分ころ岐阜市○○町×丁目×番地(株)○○付近道路で第1種原動機付自転車を運転した

2  公安委員会の運転免許を受けないで、同年7月9日午後1時10分ころ愛知県江南市○○町○××番地付近道路で第1種原動機付自転車を運転した

3  法定の除外事由がないのに、上記日時場所において乗車定員1名のところ1名を超えて乗車させ上記第1種原動機付自転車を運転した

4  公安委員会の運転免許を受けないで、同年10月30日午後4時ころ岐阜市○○×丁目×○○派出所付近道路で第1種原動機付自転車を運転した

5  法定の除外事由がないのに、上記日時場所において乗車定員1名のところ1名を超えて乗車させ上記第1種原動機付自転車を運転した

6  昭和62年5月3日から5日間、同月中旬ころに約1週間、同年7月9日から約2週間、同年9月3日から同月21日ころまでの間、それぞれ家出していたものであり、同月3日に家出した際には家から貯金通帳2冊と印鑑を無断で持ち出し、銀行から59万6000円引き出しており、同月10日にも家に戻って現金80数万円を無断で持ち出しており、また家出中は犯罪歴を有するA、Bらとの不良交友もあり、同人らとホテル等に泊ったりディスコなどで遊んだりしており、保護者の正当な監督に服しない性癖があり、正当な理由がなく家庭に寄り附かず、犯罪性のある人との交際もあり、このまま放置すれば、将来罪を犯すおそれがある

7  上記6のぐ犯事件で昭和62年10月15日試験観察の決定を受けているが、同日から同年11月5日まで家出していたものであり、保護者の正当な監督に服しない性癖があり、正当な理由がなく家庭に寄り附かず、このまま放置すれば、将来罪を犯すおそれがある

ものである。

(法令の適用)

1.2.4の各事実につき 道路交通法118条1項1号、64条

3.5の各事実につき 道路交通法120条1項10号の2、57条1項

同法施行令23条1号

6の事実につき 少年法3条1項3号イ.ロ.ハ

7の事実につき 少年法3条1項3号イ.ロ

(保護処分に付する理由)

1  少年は昭和60年夏(中学2年生)ころから遅刻、校則違反が目につくようになり、昭和61年4月10日から11日まで、同年5月9日から15日まで、同年7月23日から24日まで、昭和62年1月15日から18日まで家出するなどの問題行動があり、本件各非行に及んだものである。

2  少年は5才のときに父母の離婚により実母と離別し、その後なじんだ継母、異母妹とも昭和59年夏ころに離別しており、その間父母の不和、父の暴力等で情緒的に不安定な状態での生育過程で、成長するにつれて父への反発が大きくなり、不平、不満を充足するために本件の如き非行を生じたものと認められる。

3  少年には情緒不安定、自己解決力のなさ、対人関係の認識力の乏しさなどの問題があり、右問題を解決するためには、少年院での個別的な働きかけと治療的処遇が特に必要であると認められる(少年は本件6の非行で昭和62年9月21日観護措置がとられ、同年10月15日在宅試験観察になっていたところ、同日から家出していることからしても少年の性格的負因は大という他ない)。

4  以上を総合すると、少年を中等少年院に収容することにより、今後における少年の健全な育成を期するのが相当と思料される。

よって、少年法24条1項3号、少年審判規則37条1項を適用して少年を中等少年院に送致することとし、主文のとおり決定する。

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